エンジニアインタビュー 第7回 加藤春樹さん編

Advent Calendar 1日として初日を飾るのは、エニグモのエンジニアインタビュー第7回!今回はインフラチーム入社2年目の加藤さん(@kuromitsu_ka) です。

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趣味は自転車だそう。夕日すごい!
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先日広島のうさぎ島に行ってきたそうです。もふもふしている。



インタビュアー
穴澤:2019年1月入社。エンジニアマネージャー。

穴澤:
加藤さんはエニグモ入社丸2年ですね。エニグモはサービスエンジニアリング本部という部署の中でアプリケーション開発、アプリ開発、インフラなど複数のチームにわかれていますが、 加藤さんはインフラチームですね。前職もインフラをされていたんですか?

加藤:
SESで、お客さん先に常駐するタイプのインフラエンジニアでした。SIerに2年、サービス運営会社に1.5年お世話になりました。新卒で一番最初に常駐させていただいたSIerでは、主に運用周りを担当していました。(Cactiの監視とかコードリリース、アラートが飛んでくると調査するなど) その後知人の繋がりでサービス運営会社にも常駐させていただきました。 ここはモダンな開発環境で、プロパー社員もいい人でIaCやクラウドサービスを使った新規構築、新規OSSの検証、運用周りの自動化をさせていただきました。 こちらの現場の仕事を通して「自分もサービス開発に関わる仕事をしたいな」と思って転職することにしました。 エニグモは一番早く連絡をくれていて、BUYMAも知っていたので記念受験のつもりで受けたら受かりました。(初の転職面接でした。)

穴澤:
入社後、実際の実務をしながら独り立ち、という流れかと思いますが具体的にはどういうフォローだったりサポートをうけていたんでしょうか?入社後のギャップってありました?

加藤:
入社当初の試用期間、3ヶ月間は上司が日々何かと面倒を見てくれていました。ガイダンスもありましたが日ごとにわからないことはそこで解決していただいていました。その後別の先輩とawsのプロジェクトに参加しています。毎日MTGしつつ作業の相談やわからないことはオンラインですすめていて、特に困ることはありませんでした。入社後のギャップとして良かったこととしては、リア充キラキラ系だと思っていて、自分にはちょっとしんどいかなと覚悟していたら、落ち着いた感じでした。自分が入社する当時は、「やんちゃであれ」が社訓だったので、もっとやんちゃにやってみたい/やんちゃな人に出てきて欲しいなとは日々思っています。

穴澤:
みんなキラキラ系におびえて入社してきますね(笑)。 今の一日の流れと、実際一週間で実務作業がどのくらいなのかおしえてください。

加藤:
午前中は作業やMRレビューなどをやっています。ほぼ毎朝同じプロジェクト(AWS化)の先輩とMTGしつつ作業です。ロールとしてはインフラ/SREですがペアプロ開発っぽい形で進められています。 午後は特定の曜日はMTGがあったりしますが基本作業です。作業は17:00くらいまで。作業中の不明な点はチームのslackか定例で聞いています。作業時間は概ね7,8割だと思います。まとまった時間がとりやすくありがたいです。

以前、障害対応をしたことがあったんですが先輩とzoomで画面共有しながら一緒に作業した時先輩の操作を直接みれて勉強になるし質問もすぐできるし、すぐ教えてもらえるので普段の業務でもペアプロのように一緒に作業してもらえる時間をつくってもらえるようになりました。この進め方は今もとてもよかったと感じています。些細なことですが、チームでの仕事の進め方みたいなことも相談できるのでありがたいです。

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直接会社とは関係ないかもしれませんが、リモートになったことで都内で飲んだり遊ぶことがなくなりました。その代わり、ジムや誘ってもらったバレーボールチームに参加したりと自分の時間を調整しながら仕事のバランスが取れてると感じます。

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コロナ禍になってからキャンプも始めました。 先日は、友達とゆるキャン△聖地巡礼キャンプにいって、富士山の日の出を見てきました。

穴澤:
おープライベート充実してますなあ。 インフラチームでも、ペアプロみたいな一緒に作業ができるのって安心感ありますね。 まとまった時間がとれるのもいいですね。コードを書く時もそうですが設定や実務やってると途中で遮られたり、ノッてる時にMTGになると辛いですもん。 今リモート勤務だと思いますが、加藤さんたまに出社してます?

加藤:
週1くらいの頻度で定期的に出社してて、リゾートエリア(休憩エリア)にいると自部署以外の人からちょっとしたお困りごとみたいな相談をうけることがあってそれが嬉しかったりもします。最近ではブックマークレットのjsの書き方を質問されて、答えるなどしました。ちょうど自分がNode.jsを勉強してたのもあって、自分の勉強にもなってよかったです。入社してすぐにリモートになったので、社内に知らない人が多いのが悩みでした。たまに出社していれば、社内の誰かが声をかけてくれるので、内心凄くありがたいです。

穴澤:
あ〜そういう相談って結構リモートだと難しい、、DMみたいな深刻さもないし、かといって大勢のいるチャットできくようなだいそれた事でもないし・・すれ違ったときに「そういえばこれしってる?」みたいなノリがとてもいいですね。エニグモでは、リモート後に入社した人むけにオンボーディングと称して各部署の方が定期的に部署の役割や他部署とのつながりを説明してくれるオンラインのイベントがありますが確かに別部署の方と接点というのは限定的になりがちですね。

さっき入社後のギャップみたいなお話をしましたが、入社後、仕事の仕方とかで大きく変わったことってあります?

加藤:
自分は、客先常駐の仕事から事業会社の社員に転職したのもありますが、仕事で何かトライする際のハードルが下がった気がします。プロジェクトを進めている時も、振られたタスクを進めるだけじゃなくて、提案や、課題発見→起案がし易いですね。些細な事の相談や、新しいサービスを導入するなどの相談と意思決定が早いので取り組みたいことや試してみたいことを予算やある程度の準備をしてお願いすれば大体「OK、やってみよう。」という流れになる。事業会社ならではだと思います。

穴澤:
わたしもそういう文化をエニグモに感じます。まず話をきいてくれる環境というか、耳を傾けてもらえるところがすごくいいなと。自分で考えてチャレンジしたり提案できるって環境や風土は大事にしていきたいですね。私も、組織づくりをがんばります。

開発環境周りでいつもサポートしてくれる加藤さん、これからも頼りにしています。また、入社3年目突入ということでますますの活躍、期待しています! 今日はインタビューありがとうございました。

明日の記事は人事総務グループの足立さんです!

エンジニアインタビュー 第6回 平井蒼大さん編

エニグモの若手社員インタビュー第一弾、平井さんです。入社3年目を迎えている平井さんに、現在の日々の仕事内容やリモートでの環境の変化などをざっくばらんに聞いてみました。入社直後のインタビューもどうぞ!

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寝癖があったぽいですがご本人の許可を頂きました。:)   ウェーイ感ある。



インタビュアー
穴澤:2019年1月入社。エンジニアマネージャー。

穴澤:
3年目ということで実務やチームの立ち回りも、ご自身のリズムみたいなものができてきてるかと思います。一日の流れを教えてもらえますか。

平井:
午前中は主に1日のタスク確認、そのまま所属する開発チームの朝会に出席します。基本的には実装メインなので、午後は実装していることが多いです。施策によってはミーティングが入ることもあります。

穴澤:
平井さんのスケジュール、毎日朝30分、プロジェクトの朝会がセットされていますね。ちなみに入社後、業務を行うまでどんな感じでフォローしてもらっていたんでしょうか?

平井:
1年目のときは毎週金曜日に同じチームの先輩エンジニアの方に参加頂き、週の振り返りをしていました。振り返りは事前に週で行った業務の中で改善したほうがいいことや来週やることをesaに書いて、その週で詰まった部分の原因や解決方法を相談させて頂いていました。あとは朝会でも不安点など相談していました。業務でわからないことは、基本的にslackのチャンネルで尋ねることが多いですが、文章で伝えづらいこととかは、朝会で聞いたりします。



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当時の平井さんの振り返り



穴澤:
基本的にはOJTですね。その後入社した若手社員も週次で先輩と一緒に振り返りをやっていて、これはもう誰ともなく部内で引き継がれています。今は今年入社の岡本さんの振り返りに先輩として参加してる感じですね。エンジニアとしての開発業務は8時間のうちどのくらいの割合ですか?

平井:
平均したら7, 8割くらいかなと思います。最近だと金曜日はミーティングが多めなのでそこまで開発できないですが、他の曜日はほぼ開発してる日もあります。

穴澤:
(平井さんのスケジュールをみて)確かに金曜にまとまってミーティング入っていますね。結構こういうやり方してる人多いかも。エニグモのエンジニアはほぼみんなリモートですがお昼ってどうしてます?

平井:
常にコンビニに行って弁当買って食べています。運動はあまりしないので、意図的に歩く機会を作っています。リモート勤務になって、通勤が減って体動かす機会がなくなったことです。あとは、ずっと部屋にいるのでもう少し広い部屋に引っ越したいなと思い始めました。通勤する必要がなくなったのは、かなりストレスが減りました。逆に、仕事とプライベートの切り替えは難しいなと感じています。


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写真いただきました。すっきり片付いている作業デスク



穴澤:
運動不足は重要な課題ですよね。わたしもミーティングはできるだけスタンディングデスク使っています。歩かないですよね・・。引っ越しいいですね! 仕事とプライベートの切り替えというお話がありましたが、業務の中で先輩、後輩との雑談とか業務外のちょっとした会話ってできてます?

平井:
雑談はチームの振り返りを行った後ちょっと雰囲気が砕けたタイミングで他愛のない話をすることもあります。 あとは最近後輩と時間がとれてないのでそこはフォローしたいと思ってるところです。

穴澤:
先輩っぽい!仕事の話に戻りますが、入社後、業務で一番達成感のあったものってなんですか?

平井:
パーソナライズ特集ですね。先輩に教えてもらいながら環境も自分で構築して、独立した新機能を全部自分で作りきったところが達成感につながったと思います。今思えば設定ファイルでできてしまう部分が多く構築はそんなに大変ではなかったですが初めての事も多くローンチできた時は嬉しかったです。*1 tech.enigmo.co.jp

穴澤:
あー!これ私もアプリでレコメンド出てきたので覚えてます!記事が去年なので2年目の平井さんが作ったものですね。たしかに自分で全部作り切るってやりきった感ありそうです。 3年目、新しい社員も入ってきてフォローしたり指導したりということも増えてきてると思います。この後どういうエンジニアになっていきたいなという漠然としたものってありますか?

平井:
同僚(エンジニア、非エンジニア)が安心して一緒に仕事できる存在になりたいです。技術的にプロダクトの課題を解決できるようになりたいです。

穴澤:
平井さんが丁寧にレビューを返したり、岡本さんのtimes(slack上の自分チャンネル)にちょくちょく顔だしてサポートしているのをみかけて丁寧だなあ〜と言ってる諸先輩達も多いです。これからも一緒に頑張りましょう!ありがとうございました。

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今年入社の岡本さんのtimesで召喚される平井さん(平井さん実はもっと岡本さんによばれたい)

*1:データテクノロジーグループのレコメンドデータとアプリケーションをつなぎこみ、特定のユーザに適切なブランド・カテゴリを表示する機能。レコメンド取得APIGCP上に構成されている。

技術書・OSSの輪読会 "junior_workshop" を1年続けたのでふりかえる

サービスエンジニアリング本部アプリケーション開発グループの岡本です。 私の前回の投稿からおよそ1年が経ちました。

本記事ではエニグモ社内で行われている勉強会の中から、私も参加している通称「若手勉強会(Slackのチャンネル名は#junior_workshop)」の取り組みについてご紹介します。

勉強会の概要

こちらの勉強会は「Web開発における基礎知識を身に着ける」をテーマに掲げ、経験の浅いアプリケーションエンジニアの知識の底上げを目指して2020年の6月から開始しました。二週間に一回のペースで業務時間内にZoomやGoogle meetを繋いで実施します。

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「若手勉強会」のREADME(一部)

主な参加者はBUYMAのWebアプリケーション開発を行っている入社数年以内のエンジニアです。

各回、1時間半程度を費やして技術書を輪読したり、普段利用しているOSSソースコードリーディングを行っていました。

扱った題材

技術書 1

技術書を読む際は一週につき1章ずつ進めます。「メタプログラミングRuby」を輪読した際は、各週で本の内容をまとめたドキュメントを作成する担当者を決め、わからなかった点・気づいた点を質疑応答の時間で話し合うという形式で進めていました。

Java言語で学ぶデザインパターン入門」では章の初めに作りたいアプリケーションの要件が付されていることが多いので、その部分だけ読んで自分でクラス図を設計し、余裕があればコードを書き、全員集まってクラス図やコードを共有してレビューしながら本を読んで答え合わせをする、という形式をとっていました。

OSS

業務では主にRuby on Railsを使って開発をしているため、普段使っているRubyのgemやRailsの機能を題材とすることが多いです。学んだことは若手勉強会用に作成したSlackの#junior_workshopチャンネルにメモしたり、esaで記事を作成していました。

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筆者がesaに記録していた回

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Slackの#junior_workshopチャンネルで知見を共有している様子

1年のふりかえり

1年以上定期的に勉強会を行ってきたので、先日参加者全員でふりかえりを行いました。今回使ったふりかえり手法は「YWT(やったこと・わかったこと・つぎやること)」です。

Y(やったこと)は上記のため割愛しますが、WとTの中から参加者の皆さんの声を一部ご紹介します。

W

技術書、OSSを読んでわかったこと

  • デザインパターンを自発的に学習する機会がなかったが、いざ勉強して色んなソースコードを読んでいるとデザインパターンの文脈で扱われる用語が使われていることがあることに気づきコードの意図を理解しやすくなった
  • デザインパターンの輪読会において)同じテーマで各自プログラムを作成し、その実装・設計に関して議論することで他の人の設計アイディアを知ることができ設計の幅が増えた。
  • Rubyデザインパターンを学ぶことができ、BUYMAソースコードを読むのに役立てることができた。
  • 技術書の輪読に関しては、自分の理解が曖昧な箇所について質問したり、他の人の疑問に答えることで一人で読むよりも理解度が上がったのが良かった。
  • pryのソースコードリーディングに関しては、自分の中でブラックボックス化していた内部処理を理解していく作業が単純に楽しかった。
  • OSSを読むことに抵抗が少なくなった

デザインパターンを学んで新たな視点が芽生えたという意見が多かったです。普段使っているOSS、一見難解に思えますがじっくりと時間をかけて内部構造を読み解いていく時間が私も楽しく感じました。

その他

  • 輪読形式だったため発表することを意識し、一人で読書するときより知識が定着した。
  • 他の人が利用しているエディターやその他のツールを知ることができた。
  • 質問を受けることでなんとなくわかった気になっていた内容を復習し記憶として定着させることができた。
  • 途中から業務が忙しいという理由で参加しなくなってしまった…

自学することに加えて他人に教えたり発表するなどして知見をアウトプットすることで理解が深まることを実感しました。

T

  • OSSにコントリビュートしたい、今後も継続していきたい
  • OSSソースコードリーディングで培った速読力?を普段の調査系のタスクで生かしていきたい。
  • なかなか OSS へのコントリビュートもできていないので積極的に OSS 活動にも参加していきたい。

実は既にRuby/Railsに関するOSSに貢献している方もおられます。

tech.enigmo.co.jp

おわりに

1年が経過し、参加者それぞれが重要なタスクを任されることが増え忙しくなってきたので、このタイミングで定期的な若手勉強会は一旦ストップすることにしました。今後はRubyに限らず、勉強会でやりたい企画があれば随時開催しようということで合意しています。(今度はデザインとかフロントエンドの勉強会やりたいですね〜という話をしていました)

エニグモではエンジニアを採用しています

hrmos.co

VPN製品の社内PoCを通して考えたことなど

お疲れさまです。インフラチームの山口です。

新型コロナウィルスの影響下でのリモートワークに伴い最近社内でいくつかのVPNアプライアンスのPoCを実施したのでその際に考えたことや振り返ってこうしておくべきだったという内容を戒めとして各フェーズに沿ってエッセイとして記載します。 なお、現在進行系で数種の製品のPoC中のため、「何か特定の製品を使ってうまくいった」や「弊社はこうしている」などの情報は何もない、私が感じたチラシの裏的なレポートになります。

要は、技術的に新規性のあることはない内容ですが、同じような問題意識を持ってる人間に届けばいいなといった感じの文章になります(文章でもなんでも刺さる人にだけ刺さればいいというポリシーなので、そういった感じです)。

本稿の構成を以下に記載します。

まず、筆者の経歴および、前提条件を説明します。 次に、製品選定や実際のPoC準備から実施までに考えたことを記載します。 そして、最後に感想をまとめます。

筆者の経歴

前職は以下の感じの業務に従事しており、お客様のネットワーク構築やビデオ会議の導入などをしていました。

  • 顧客のNW(主にWAN)構築・運用(所謂ネットワークエンジニア)
  • ビデオ会議の端末やサーバの導入・運用など(これは何エンジニアなのか適切な表現は思いつかない)

その後弊社に転職して今に至ります。

要は、法人のお客様にベンダーのアプライアンス製品を導入したりする仕事をしている人の気持や挙動は薄々イメージつくといった感じになります。 前職では、企業の情シスの方が主に対面となる顧客の形でした。

が、今回のPoCでは、どちらかというと企業の情シスに近い動きをしており、立場変わると見え方変わるなというのを感じています。 その一方で、再販のベンダーさんが英語の資料ベースにパワーポイントなどでまとめられた日本語の手順書などいただくと、「こういう類作るの面倒だよね(困ったら英語の一次資料頑張って読むけど、利用者としては日本語でアウトラインまとめられているのはありがたい)」という気持ちもあったりして日々勉強させて頂いています。

前提条件

本稿全体の前提にかかる弊社の現状について開示可能な範囲で簡単に箇条書きで記載します。 今回のPoCについては基本的に情シスと協力して進めるという形を取っています。

  • 社員数
    • 150人強(業務委託の方なども含む)
  • 人員の構成
    • 情シス: 2名
      • 社内NWや社内のPC/社内で利用する外部サービスの管理など
    • インフラ: 7名
      • 自社サービスのインフラ部分を担当
      • 当初は情シスワークもインフラで実施していたが、専任の情シス担当者着任に伴い移管したという経緯がある
      • 情シス・インフラは部署としては別ライン(会社でよくある構成だと思いますが、情シスは人事総務系の所属・インフラはエンジニア部門の所属)
  • NW構成と運用
    • オンプレミスからAWSへの移行中のためデータセンタ・AWS側それぞれへのIP到達性が必要
    • リモートアクセスVPNはルータではなくLinuxサーバで終端(PC側は各OSに組み込みのクライアントを利用)
    • VPN関連はインフラの管轄(ただし、社員からのVPN関連の問い合わせやサポートは情シスでも一部対応してい頂いているケースもある)
  • 問題意識
    • リモートワークに伴い以下の工数が増えている点を改善したい
      • VPNの初期設定時のサポート
      • VPNがつながらないなどのサポート

製品の選定

製品の選定の際に考えたことを記載します。

まず、選択肢として、ベンダーの提供している製品を使うか、自分たちでOSSをベースに構築するかがあると思います。

弊社の状況としては、OSSなどを組み合わせて自分たちで独自に構築して運用する工数を取ることは避けたかったため、ベンダーの製品を選択する形を取りました。 また、ベンダーという単語は本稿では、サービスや製品を提供している企業と、その製品の代理店をなんとなく指す意味合いで使います。

  • OSSを組み合わせて構築する
  • ベンダーの製品を使用する

次に、製品を選ぶ際に考えた点を以下に記載します。 以下に明示的に記載はしていませんが、コストも気にはします。

  • 利用者の観点で設定が簡単か
    • VPNの設定のサポートが辛いという問題を解消したいのでこれは重要。
  • 端末のアップリンクでのポートの遮断などに対応可能か
    • 要は、リモートワーク時のご自宅のNWなどでポートが遮断されている場合はTCP:443などにフォールバックしてつながってくれるような製品かどうか。
    • リモートワークの際に、社内のメンバーのご自宅のNW機器の設定起因と思われるトラブルに対して、会社としてどこまで手を出すかは悩ましいところなので極力robustに動いてくれる製品が良い。
    • 前職なら「お客様責任のお客様機器」なので設定変更はご法度的な箇所を、製品の型番教えてもらいマニュアル読みつつ影響なく問題を回避する方法を調べ対応するのは面白くもあるが、しくじったときにお互いに辛い。
    • が、まあ最近の製品は、おおよそフォールバックして通信してくれるのでそこまで気にする必要は実際無い印象。
  • PoCや導入に際し既存への通信影響がなく、可能であればNW構成も変更せず利用可能なこと
    • 要は、PoCや検証のために既存の通信経路などの変更はしたくない。
    • 最近の流行りだと大概はデータセンタやVPCに配置するVPNサーバに相当するアプライアンス側でも、アウトバウンドでクラウド側と接続するデザインが大半の印象なのでこれもそこまで気にする必要はなかった。
    • また、オンプレミス側に配置する仮想アプライアンスのためには、ESXiがあれば良い
      • Dockerのイメージが提供されている製品もあるようであったが一部機能に制限などがあるため基本はESXiかHyper-V仮想マシンをデプロイする。
      • 余力があればEKSなりECSで動かしてみるかといった気持ちを当初抱いていたが実際はそんな余力はなかった。
  • サポート体制
    • 英語での問い合わせでも良いですが、辛いので可能であれば日本語でサポートが受けられるのが望ましい。
  • 息が長い製品であるかどうか
    • 要は、ベンダー都合でEOS(End of Support もしくは End of Service)にすぐならなさそうか。
    • これは前職でベンダーの日本法人がなくなったり、EoSに伴う後継の製品への置き換えが辛かったりというケースがあったので少し気にしました。
      • が、根本的に利用者側としては回避する方法はないので頭に留めておく程度。

PoC準備

次に社内PoCの準備に際して考えたことを記載します。

  • 事前に製品の検証をしておく
    • 社内でPoCの依頼をする前に、事前に製品の挙動などの検証をしておきます。
    • 社内のメンバーに使ってもらう状態になると気軽に設定変えて試験といった形が難しくなるため事前に気になる点は検証をしておくのが望ましい。
  • 協力を依頼する部署に事前にお願いしておく
    • 会社の規模にもよるとは思いますが、流石に昨日の今日で社内の各部署に「明日から社内PoCやるんで協力よろしく」は避けたいので、事前に協力を依頼したいメンバーをリストアップし、上長含めて事前にご協力のお願いを出すという形にしました。
    • 各部門で数人ずつ協力していただき、概ね漏れがないような人選としました。
  • 各種手順の準備
    • インストール/アンイストール/トラブルシュートの手順は事前に準備しておきます。
    • 準備しておけばおくだけ、後が楽になるため注力しておいた方が良いと思いますが、後から漏れなどが出てくるので実際社内PoCの間にも追加で準備したりしていました。
  • ローカル開発環境でも影響が無いか
    • PCから各リソースにIP到達性さえあればよしとしてしまっていて盲点的な箇所ではあったのですが、弊社サービスのローカル開発環境がリモートのDBなどと通信している箇所があり、PoCを行う製品でも既存のVPNと比較して、ローカル開発環境が極端に遅かったり不安定にならないかを確認します。
    • たまに遅いなどの問題をうまく検知するために、事前に負荷試験ツールの類でローカル開発環境に対して数時間試験をしてレスポンスタイムを記録し定量的に比較できるようにしておきます。

PoC実施&評価

PoC実施中から評価の際に考えた内容を列挙します。 実施する状態になったらやりきるしかなくて、どれだけ事前に準備して問題潰しておくかだなと言うのが正直な印象です。

  • PoC中はPoCに対する問い合わせ対応を最優先にする
    • 社内PoC中はPoCに関連する問い合わせの対応を最優先にするよう事前に自分の持っているタスクの段取りなどを調整していました。
  • PoC実施中にうまくいかないケースがあったら問題判別を強行しない
    • PoCしてもらっているメンバーからうまく動かないなどの問い合わせがあった場合、長時間に渡る可能性がある問題判別は極力避けるようにしました。
    • これは、社内PoCに協力いただいていること起因で、既存の業務に影響が出てしまうのは本意ではないため、うまくいかない点の解消がすぐできなそうなら、既存のVPNに切り戻して業務継続していただくような形です。
  • 評価方法
    • 複数製品を評価する場合何らかの形で数字に落として比較できると嬉しいので、PoCに協力していただいたメンバーにアンケート取る形にした。

まとめ(というか感想)

まとめというか感想なのですが、社内の利用者・情シス・インフラ・再販事業者・製品ベンダーなど立場が変わると見え方も変わると思いますが、それぞれの立場でみんな幸せになる形で、構成を改善していけるといいなという気持ちです。

エッジコンピューティングでアクセス集中、パーソナライズ、プライバシー保護の課題を解決

エンジニアの木村です。最近は負荷対策のためのリファクタリングやリアーキテクティングのリードや、データ基盤・ML・検索基盤を担当するチームのマネージャーとしてデータ関連の案件に携わっております。

先週、webinar 形式で行われた Akamai TechWeek 2021 Japan にて、6/16 に「EdgeWorkersの導入について」というテーマで、昨年末にバイマに導入したEdgeWorkersというAkamaiのサービスについて講演しました。本ブログでもその内容を共有したいと思います。

スライドはこちらになります。

エッジコンピューティング導入の背景

導入背景としては、アクセス集中下でもサービス自身のドメインを通じて自らユーザーを追跡し、ファーストパーティデータを収集する必要性という事業課題がありました。

アクセス集中を伴うマーケティング施策への対応

事業課題の1つとして、モバイルへのプッシュ通知と、フラッシュセール施策という、いずれもアクセスの集中を引き起こすマーケティング施策へサービスとして対応していく必要がありました。

まず、モバイルへのプッシュ通知が増加しているのですが、その背景には時代やサービスの成長フェーズの移り変わりがあります。マスマーケティングからOne to Oneマーケティングへと、我々の注力ポイントが変わってきているからです。実際、以前は認知を広げて新規顧客を獲得するためにTVCMによるマスキャンペーンを展開し、当時はアクセス集中といえばTVCMの放映起因がほとんどでした。最近は既存顧客一人一人に対してパーソナライズ した通知を送ってリテンションを図る施策が増えています。モバイルアプリをインストールしているユーザーやLINEのバイマ公式アカウントと連携しているユーザーはサービスへのロイヤリティが高く、通知の開封率も高いので特に一斉に送信するような通知ではTVCM放映以上のアクセス集中が生まれています。

フラッシュセールとは、ブラックフライデーサイバーマンデーなどのセール施策のことです。期間や商品の在庫も限定した形で行われ、また先程のプッシュ通知により開始が通知されるのでアクセスの集中が発生します。毎年性能改善を重ねてはいたのですが、スケールが難しいオンプレのインフラを使っているサービスのところでは対策に限界があったのと、年々増加していくユーザー数に追いつかない状況で、毎年このセールの開始直後はサイトのパフォーマンスが不安定になっていました。

パーソナライズとプライバシー保護の両立

直面していた事業課題の2つ目は、プライバシー保護とパーソナライズの両立です。

パーソナライズ についてですが、最近はレコメンドなどに代表されるパーソナライズ されたUXへの期待が高まっています。北米やイギリスの消費者を対象にした2019年の調査*1では、63%の消費者がサービスの標準としてパーソナライズ を期待しているそうです。また、自分だけの特別なオファーが送られてきたり、サービスとの各接点で一人の同一の顧客として認識されることで一人の個人として扱われていると感じるそうです。したがって、サイトのUXだけでなく、マーケティング施策にもパーソナライズ が求められています。さらに、そういったUX改善やマーケティング施策の効果測定でも、施策による単純なKPIの動きだけでなく、ユーザーを一人一人区別して分析し、どのような属性の顧客に効いているのかといった高い解像度での分析が求められています。

また、ユーザーはパーソナライズ を期待している一方で、プライバシーの保護についての意識も高まっていて、個人データの収集に関して透明性が求められています。それに答えるように、SafariChromeといったメジャーなブラウザでブラウザフィンガープリントやサードパーティクッキー、クライアントサイドクッキーは何らかの制限や規制、あるいは廃止される予定になっています。これにより、ユーザーを追跡する手段としては、サービス自身のドメインを使ってのファーストパーティクッキーだけが残され、そのクッキーを通じて収集されるファーストパーティデータの重要性が増してきています*2

エッジコンピューティングの導入理由

そういった背景から、なぜエッジコンピューティングの導入に至ったのかをお話しします。

CDN導入のための必須要件

背景にあったアクセスの集中に対応するために、それまで画像・js・cssといった静的コンテンツのみで多なっていたCDNでの配信を、Webアプリから返しているHTMLやAPIという動的コンテンツの配信にも導入することになりました。また、これも背景で説明したパーソナライズ やデータ収集の必要性から、CDNを選定するにあたり以下の3つの必須要件を定めました。

  • レスポンスをパーソナライズ可能
  • エッジアクセスデータと自社DWHの連携が可能
  • ファーストパーティCookie操作をエッジへ移行可能

1つ目はレスポンスをパーソナライズ可能性、つまりキャッシュするコンテンツをユーザーによって分けたりが可能かどうかです。2つ目はエッジアクセスデータと自社DWHの連携が可能かという点です。それまではオリジンのWebサーバーのログをDWHへ連携することでユーザーのサイト内の行動を分析していたのですが、キャッシュされるコンテンツに関してはオリジン側へログが残らなくなるため、分析のためにエッジのアクセスデータを自社DWHへ連携する必要があります。3つ目ですが、バイマでは未ログインでセッションを張っていないユーザーも追跡可能にするためにファーストパーティcookieを利用していて、これによりUXのパーソナライズやマーケティング施策の効果計測を実現しています。そのCookieの操作処理をエッジへ移行する必要がありました。

ITP2.1 への対応

Cookie操作処理のエッジへ移行する必要性の経緯としては、ITP 2.1 への対応というのがあります。

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Cookieの操作処理の変遷
バイマでは当初、そのCookieの操作をJavaScriptAPIであるDocument.cookieで行っていたのですが、2019年にApple によってブラウザのJavascriptで作成するCookieの有効期限は最大7日に制限するというITP 2.1のSafariへの導入 がアナウンスされました。バイマではiOSSafariのユーザーが大半を占めるので、我々はそれまでブラウザのJavascriptで行っていたCookieの操作をオリジンのアプリケーションサーバー側へ移行し、Set-Cookieヘッダーによりcookieを操作するように修正を行いました。今回のCDNの導入の際は、キャッシュヒット時にもSet-Cookieヘッダを返すことでCookieを操作する必要性がでてきます。したがって、ファーストパーティCookieの操作処理をエッジサーバー側へ移行する必要性がありました。

Akamai EdgeWorkers を採用

いくつかのCDNサービスからAkamaiを選んだ理由としては、上述の必須要件を満たしていたという点がありました。プロパティだけでもかなり柔軟なルール設定が可能で、それだけでもある程度パーソナライズは実現可能でした。また、DataStream 2 というサービスにいよりエッジのアクセスデータをリアルタイムに近い形で、GoogleのBigQuery上で構築している自社のDWHへデータ連携が可能でした。さらに、EdgeWorkersによりCookie操作をエッジサーバー上への移行が可能という点で必須要件を全て満たすことができました。

また、すでにスタティックコンテンツの配信では既に導入実績があったという点も採用への後押しになりました。実は、この3つの必須要件のパーソナライズ、データ連携、エッジコンピューティングの機能については、他の競合CDNサービスも提供されています。ただ我々としては利用に慣れていて信頼のあるAkamaiを使いたかったので、逆にこちらからエッジコンピューティングの機能について問い合わせたところ、EdgeWorkersを提案いただき採用に至りました。

EdgeWorkers の開発・運用

EdgeWorkersでどのように開発をすすめたのかや、実際の運用状況について紹介します。

利用開始は簡単

最初のEdgeWorkersへのとっかかりは簡単でした。すでにAkamaiをお使いの方にはお馴染みのWebコンソール「Control Center」から利用可能です。実装も簡単で、開発者はイベントハンドラのファンクションを実装するだけになります。今回クライアントへのレスポンスするタイミングで呼ばれる onClientResponse を実装しました。Web UI上でコーディング、アクティベートも可能だったので、チュートリアルとしてのHello Worldを動かすところまでは1日で到達できました。

ライブラリも利用可能

利用できるライブラリについてですが、cookie操作やURLのパースなどは標準で組み込まれいているモジュールで十分可能でした。また、rollup.jsというJavaScriptのモジュールバンドラーにより標準組み込みでない、npmリポジトリで公開されているサードパーティ製モジュールもbundle可能でした。1点だけ注意というか、当然ではあるのですが、ブラウザJavaScriptのコードをそのまま移植しようとしても動かなかったです。元々はブラウザJavaScriptCookieを操作していたロジックはあったのですが、書き換える必要はありました。さらに細かいところで言うと、ブラウザだとwindowのオブジェクトにatobやbtoaというbase64エンコーディング・デコーディングをしてくれるfunctionが付いてるんですが、それは使えず、代わりにrollup.jsでbase64エンコーディングを行う3rdパーティモジュールをbundleして呼び出して使っています。

開発時のデバッグ方法

開発時のデバッグ方法ですが、ログ出力をレスポンスヘッダに埋め込んで確認できるenhancend debug headerを利用し、ステージングへアップロード&アクティベートを繰り返しながらのプリントデバッグで切り抜けました。本当はakamaiCLIでローカルにSandboxを構築して利用する方法もあるのですが、その構築が手順通りにやってもうまくいかず、ブラックフライデーが差し迫っていたこともあり、問い合わせる余裕すらなかったので、実環境のステージングでの開発となりました。ただステージングへのアクティベートは毎回許容範囲内の時間で終わってくれるので、このやり方でも開発は可能でした。手順通りにやってうまくいかないという点なのですが、ある程度経験のあるメンバーが二人がトライして、二人ともSandbox構築にハマっていたので、ドキュメントに関しては何らかの改善の余地はありそうです。昨年末の話なので、既に改善されているかもしれないですが、期待とフィードバックの意味も込めて、ここで苦労したエピソードとして紹介させていただきます。

開発時の参考リソース

開発時に参考にしたリソースとしては、ユーザーガイドもあるのですが、他にもGitHubのリポジトリにexampleが公開されていて、先行事例があまりない段階での利用だったので、開発時にはそれが大変助かりました。ブログにも参考になりそうな記事があります。ユースケースの紹介もありますし、Github ActionsでCICDを実現するような事例も載っていて、デベロッパーフレンドリーにできてるなと思いました。

本番運用してみて

実際に本番運用してみている状況についてですが、実行時間的なパフォーマンスは非常に良いです。エッジでなにか処理を行っていてもUX上はなにもレイテンシを感じないレベルを維持できています。

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EdgeWorkersの実行時間の推移

ただし、本番環境でのトラブルシューティング時のログ調査に課題があるなと感じました。原因調査のため、ログ出力の解析をするためにログ取得をしようとすると、Log Delivery Serviceを使うのですが、実際に手元にログが届くのが次の日になるので、トラブルシューティングのサイクルを回すのが非常に時間を要する状態でした。EdgeWorkersをFaaS (Function As A Service) として見たときに、競合としてはAWSのLambdaやGCPのCloud Functionがそれに当たると思うのですが、これらの場合はリアルタイムに近い形でWebUI上で本番のログをtailしたり、検索、分析できたりします。当然Akamaiそういった機能はあるのだろうと、期待していたところもありましたが、そういた機能は未提供となっているところは残念なポイントでした。今後提供されることを期待したいと思います。

EdgeWorkersの今後の活用と期待

私たちのEdgeWorkersの今後の活用案や、EdgeWorkers自体に対してどのような進化を期待しているかというお話しをしたいと思います。

EdgeWorkersの今後の活用案

今後の活用案としては、これまではキャッシュすることでオリジン側の負荷をオフロードするだけでしたが、EdgeWorkersによりオリジンのロジック自体をエッジへマイグレーションしてよりアグレッシブなオフロードが可能となったと思うので、今回はCookie操作の処理だけでしたが、分散処理可能なものはEdgeWorkersへ移行してよりオリジン側の負荷を減らすことが考えられます。また、これまでオリジン側の負荷の制約で諦めていたサイトUXのパーソナライズ施策がたくさんあります。工夫次第ではEdgeWorkersを使うことで実現できそうなものもありそうです。

EdgeWorkersへの今後の期待

最後に、EdgeWorkersへの今後の期待としては、運用のところでも述べた競合並みの監視・ログ管理ツールの提供です。また、監視として使えるものとしてEdgeWorkers Report APIが提供されていて、各種メトリクスを取得できるのですが、自社の監視ツールに手動で設定する必要があります。最近は我々も導入しているDataDogやNew Relicといった3rd パーティの監視SaaSがあるので、SaaS側にEdgeWorkersのインテグレーションを用意してもらって簡単にメトリクスやログを収集し、常時監視できたらありがたいと思いました。率直に言って、現状のレポーティングの機能だけですと、Cookieの操作のようなライトな使い方が限界かなという印象です。これら監視・ログのサポートが揃えば、ある程度複雑な処理を書いても本番運用に耐えると思うので、今後の活用案のところで書いたような、マイクロサービス をエッジ上で構築するぐらいのヘビーな活用も目指せると思いました。

また、データ連携の強化も期待したいです。EdgeKVという、Key Valueストアとして使えるストレージの機能があるのですが、そこのデータがエッジ上にあるままでは活用は限定的なものになってしまうと思いました。そこのデータも自社のDWHなどに取り込み、他のデータと紐づけての活用が可能になれば理想的です。

まとめ

私たちは、アクセス集中による負荷の軽減・パーソナライズ・プライバシーの保護というお互いにトレードオフの関係にある課題を解決する必要がありました。エッジコンピューティングの導入により、それらをどれも犠牲にすることなくクリアすることができました。EdgeWorkersには、ドキュメントの整備や運用面ではまだ課題はあるもの、それらが改善されれば開発者体験としてはさらに向上し、よりディープな活用へと踏み出すことができると期待しています。

最後に、私たちは今回紹介したようなUXの向上やプライバシー保護についての課題など、純粋にユーザー目線でサービスの課題解決に日々取り組んでおります。CDNを始めクラウドサービスや、最新テクノロジーを駆使して世界を変える流れを作るサービスを提供する仕事に興味のある方は、下のリンクからご応募お待ちしております。

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enigmoデザイナーの「最近気になるデザイントピック」- アプリUI編

こんにちは。デザイナーの別所です。
本日はenigmoデザイナーの、最近気になっているデザインに関するトピックをご紹介したいと思います。

今回のテーマは「アプリUI編」です!

心地よい使い勝手!映画レビューアプリ「Must」

「Must」は映画/TVファンのためのSNSアプリです。
作品のレビューを投稿したり、見たい映画や番組をコレクションとして保存できたり、友達と繋がって他の人がコレクションしている作品を見たりすることができます。
おすすめ作品をデイリーでレコメンドしてもらえたりもします。
2016年にリリースされたアメリカ生まれのアプリです。

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引用:https://mustapp.com/

デザイナーのこだわりを感じるUI/UX

f:id:enigmo7:20210603171820p:plain Mustの一番の特徴は、画面の下半分の操作で完結するように設計されているUI/UXではないでしょうか。
レビューの入力や「観たい」「鑑賞済み」を選択するボタンなど、このアプリのメインアクションは全て画面の下部で操作できるため、「指が届かない」「両手に持ち替える」などのストレスがなくスムーズに操作できます。
昨今のスマホの様々な端末サイズに左右されないような設計がされているんですね!
ストアのレビューでも優れたUI/UXに対してのコメントが多く見られます。 (レビューでUIについて言及されるアプリって珍しい気がします!)

心地良いUIモーション

Mustは見た目の美しさだけでなく、モーションにもこだわりを感じます。
作品のサムネイルをタップすると、本棚から選んで取り出すような雰囲気のモーションがついてます。タップした時にサムネが少し小さくなるところも、ユーザーが押したことを認知させる表現で、細かい技が効いてます。
作品情報のモーダルは作品サムネイルにかぶさる様に画面下から表示されレイヤー感があるので、作品サムネイルと作品情報との優先順位を感じさせる見た目になっています。

テキスト要素をギリギリまで排除したシンプルさ

f:id:enigmo7:20210603173215p:plain
引用:https://mustapp.com/
海外アプリっぽいな〜と感じるのがテキスト要素の圧倒的少なさ。
基本的には作品名はテキストで表示させず作品画像のみとなっています。 このシンプルさが美しい作品画像をより際立たせてる気がします。 視認性担保のため小さい画像も無いところが、作品情報を認識しやすく操作しやすいです。

楽しい絵文字遣い

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絵文字の使い方にシャレが効いていてオシャレです。
レビューを10段階で入力するときは、数字によって表情が変わります。 こういう小技で入力を楽しめる体験って良いですね。

海外のアプリなので日本語のレビューや、邦題作品はまだ少ないようです。
日本でももっと広まって欲しいです!

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コロナウィルスがやって来た!情シス奮闘記

こんにちは、Corporate IT/Business ITを担当している足立 です。

この記事は Enigmo Advent Calendar 2020 の 24日目の記事です。

エニグモでは1人目のコーポレートIT担当として未着手な社内IT環境をコツコツ整備してます。 世間的には1人情シスと呼ばれるポジションです。

今回は2020年に取り組んだ事を書きたいと思います。

2020年は何と言ってもコロナウィルス

1月後半から徐々に猛威が迫ってきて弊社も2月17日に対応・方針についてのMTGが予定されてました。
また、偶然にも同タイミングでSlackの全社チャンネルに 会社に対し何らかの方針、対応があるのかと言う内容の投稿がありました。
今思うと見えない恐怖・不安が爆発した日だと思います。

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コロナウィルス

2月17日 緊急招集 MTG

2月17日 夕方 経営陣、監査役、部署長、情シスが招集されました。
そこで決まった方針は下記内容になります。

方針の大概要

①「在宅勤務」の推奨
②出社勤務の場合は「時差通勤」推奨と「社内感染防止ルール」の厳守
③本方針は翌営業日からのスタート
コロナウィルスの影響により、急遽全社的にリモートワークを一斉にスタートする事になりました。

情シスとしてのMISSIONは リモートワーク環境の構築

リモートワーク環境・・・

実はリモートワークを本導入してませんでした。
当初の予定だとオフィスが元々国立競技場が近いと言うこともありオリンピックに向けて
リモートワークを段階的に試験導入する予定でした。
また、コロナ禍前は情シスとしてリモートワーク開始について反対の立場をとっていました。

反対した理由

当時でもリモートワークで業務出来る環境でありましたが
いくつか課題があり中々、賛成する事は出来ませんでした。
代表的な理由としては・・・

  • 運用、緊急時のフローが無い
    リモートワークの運用フロー・ルールが構築されていない
    重大インシデント発生した際の緊急連絡フローが確立出来てない
  • ウィルス対策が脆弱
    コンシュマー版のウィルス対策ソフトを利用してましたが、リモートワークを実施するには強化すべき部分でした。 やはり管理コンソールが無い為、管理者として各端末の状況が把握しにくい部分が課題でした。
  • MDM(Mobile Device Management)導入して無い
    ウィルス対策の話と同様に端末の状況を一括で集中管理出来るソリューションが未導入

運用・緊急時のフロー等は社内で方針を決めるだけなので、直ぐに対応が出来る内容ですが
正直、セキュリティ周りをもう少し強化な環境に整えてから実施したいと言う思いでした。

真っ先にやった事 デスクトップ パソコンのリプレイス

緊急事態に付き兎に角、業務が出来る環境にすべくデスクトップPCのリプレイスに着手しました。 当然、パソコン無ければ仕事が出来ません。
当時、アルバイト・派遣社員が使用していた約20台程のWindowsデスクトップPCが
稼働中な為、直ぐにメーカーに連絡し、12~13台ずつ購入し3~4週間程で入れ替え完了させました。
キッティングに関し初めはイメージを作成しクローニングで対応も考えたのですが
作成・検証する時間も無かったのと、エニグモでは予めインストールするソフトも少ないので
人力による力技で対応しました。
2019年より少しずつノートPC化をしていたので、何とかなった感じです。

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デスクトップPC リプレイス

WEB会議・問い合わせ対応

Zoomを導入しました。
実は運良くコロナ禍前から導入に向けて動いていました。
導入した理由としてはGoogle Workspace(旧称 G Suite)があるので
Google Meet利用出来ましたが、やはり大人数でのWEB会議はZoomの方が安定していたからです。
特にエニグモでは4Mと呼ばれる全体集会が月1回あるので、そこは重視しました。
また、仮想背景機能もあるので従業員のプライバシー保護の観点や
リモートコントロール機能もあるのが決定打でした。

Zoom導入前にトラブルサポート対応で解決までに3時間かかった事例があったので
この機能にはだいぶ助けられました。

Zoom対応ハードウェア DTEN導入

元々社長室・会議室にAppleTVが設置されておりプロジェクターを使用して
会議資料を投影してました。
MacはAirPlayを使用して安定的に投影出来ますが、Windowsの場合はAirParrot3と言う
シェアウェアを利用してましたが非常に動作が不安定と言う課題がありました。

プロジェクターを利用する際に部屋を暗くする不便さ、動作が不安定な課題を解決する為
Zoom対応ハードウェア DTENを1番大きい会議室と社長室に導入しました。 導入後はWindowsでも安定した投影が可能になりZoomRoomsアカウントで 無償アカウントユーザーでも時間無制限でWEB会議を利用出来るようになりました。
デメリットな部分としてはお値段が高いところでしょうか
個人的には気に入っているハードです。
当初は全会議室に導入しようとしていたので2台で止めといて良かったです。

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社長室と会議室

電話対応 fondesk モバイルチョイス050導入

コロナ禍と言えども会社へ電話が鳴る日々でした。
その殆どは業務と関係の無い営業電話や人材紹介の電話で月間300件程着信があり
主にバックオフィス部門にて全ての電話を受電し業務負荷が増え
電話対応する度に集中力が途切れて業務がままならない状況でした。
また、お客様の問い合わせについても迅速に対応出来ない事例も発生し
折返し対応するにも会社支給の携帯電話が無いので個人の携帯電話を利用する人も居ました。

そこで電話受付代行サービス fondeskを導入
導入後は会社代表電話番号をfondeskの番号へ転送し 転送先のオペレーターの人が一時対応し全て折返し対応となります。 対応内容はSlackにて投稿されるので、総務が内容毎に関係部署や個人へ共有する運用になりました。
導入後はオフィスが非常に静かになり、こんなにも効果があるものかと感心しました。

また、個人の電話対応として楽天コミュニケーションズのモバイルチョイス050を導入しました。
導入後は個人スマホに050番号を付与する事が出来るので、折返し対応時にプライベートの番号が伝わる事が無い様になりました。 メリットとしては簡単にBYODを導入出来る、データ通信ではなく音声回線を利用しているので音質が安定しているのが良い部分だと思います。

FAX対応 メール送信&Slack連携

電話の次に対応したのでFAXです。 レガシーなシステムと言えども銀行やカード会社のやり取りで使用する為、 何かしら対応が必要になりました。

弊社のFAXは複合機で送受信を行っているのですが 仕様を確認したところ受信したFAXをメール送信出来る機能があり直ぐに設定 メール送信されたものはzapierを経由しGoogleドライブ(共有ドライブ)へ保存され受信した際にSlackへ通知されるようにしました。

ただ、この構成で欠点があります。 複合機のFAXメール送信機能は用紙切れになるとメールが送信出来ない仕様でした。 ここは盲点でした。

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FAXの構成

冒頭でも触れたウィルス対策

リモートワークを始めるにあたり絶対にウィルス対策(エンドポイントセキュリティ)の強化は最低限譲れないと思ってました。 そもそもWindowsNortonMacはESETとOS毎に違っている。 しかも、コンシュマー版を利用している状況 Excelでシリアル番号とインストール端末を管理すると言う運用

この状況を打破する為、CrowdStrikeを導入 念願のEDRを導入する事が出来ました。 展開が終わった時は達成感が凄かった・・・・ 何と言っても管理コンソールの存在に感動、アラートが飛んでくる頼もしさ、勝手にアンインストールされない安心感はプライスレス。

ちなみに導入直後に管理コンソールにログイン出来ない事象がありました。 原因はセカンダリ環境にCrowdStrikeが構築されログインURLが通常と違っていたのが原因でした。
(後日談としてESETのアンインストールを社内にアナウンスしたら、みんな光の速さで削除してました・・・)

まとめ 2021年へ

その他にも実施した事もまだあるのですが、今回書くことが出来ないのでいつかタイミングあれば書いてみたいと思います。 情シス視点での福利厚生制度を作ったり社内イベントをやったりしました。

今後リモートワークを核としたワークスタイルへの移行にむけてオフィスをリニューアルする予定で、 そこに向けて色々と動いています

  • サーバールーム移設対応
  • 社内ネットワーク対応(有線・無線)
  • 電話回線周り(光収容化・Dialpad導入)
  • インターネットFAX導入
  • 受付システム導入
  • 入退出システム導入
  • 座席予約システム導入
  • AV機器周り対応

また、4月にokta導入が決定しました! 出来たら来年こそはMDMを構築したいと思ってます。

では、以上になります。 ありがとうございました。

明日の記事の担当は 出品審査担当 の 杉山 さんです。お楽しみに。


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