AI時代のPdMの武器は「土壌」にある。BUYMAの歴史をレバレッジに、高速で仮説を形にする方法

はじめに

KNと申します。 2025年2月に株式会社エニグモに入社し、プロダクトマネージャー(PdM)として約1年が経過しました。

前職では新卒でWeb系企業にエンジニアとして入社し、3年間従事しました。 文系出身ながらAWSでのインフラ構築・メンテナンスからバックエンド・フロントエンドの開発まで、幅広く経験しました。

その後、社内転職でPdMへとキャリアをシフトし、フィンテックサービスのグロースを担当していました。

私がエニグモへの転職を決めたのは、20年続く「BUYMA」というプロダクトが持つ圧倒的な蓄積に惹かれたからです。

しかし同時に、「歴史があるがゆえに、動きが遅く、部分最適の調整に追われるのではないか」という懸念もありました。

結果として、この1年間で得られたものは予想を遥かに超えるものでした。 この記事では、エニグモで経験した学びと、20年続くプロダクトの「厚み」がもたらす価値について記します。

自身の業務領域

BUYMAは世界180カ国、22.5万人以上のパーソナルショッパー(出品者)が支える、唯一無二の「お買い物代行」プラットフォームです。

現在、私はBUYMA「出品者領域(SELL)」と、決済・配送・基盤を支える「サービスインフラ(SI)」の2つを横断して担当しています。

  • SELL領域: 出品者がいかにストレスなく、質の高い出品を行えるか
  • SI領域: 配送、決済、CS、経理。取引の全工程を支える「心臓部」

この2つを同時に見ることは、一見すると負荷が高いように思えます。

しかし、「出品の仕様変更が、数カ月後の経理処理やCSの問い合わせにどう影響するか」を予見しながら動く経験は、プロダクトを「機能の集合体(点)」ではなく「エコシステム(面)」として捉える視座を私に与えてくれました。

エニグモの組織図

入社の決め手:20年の蓄積がもたらす土壌

転職活動をしていた当時、私が最も重視していたのは「自身の仮説構築や施策立案の精度を向上させること」でした。

前職の新規事業では、スピード感を持って施策を回していましたが、比較対象となる過去データが少なく、「打席には立つが、なぜ当たった(外れた)かの深い洞察」が不足している感覚がありました。

2005年から続くBUYMAには、膨大な成功と、それを上回る「失敗の経験」があるのではないかと仮定していました。それは、自身が望む次の仮説を研ぎ澄ませるために非常に魅力的な場所だと感じました。

あえて歴史のある環境に身を置くことで、中長期的な時間軸での「判断の軸」を手に入れ、今後どのようなフェーズのプロダクトでも通用するPdMになりたいと考えたのが、入社の最大の理由です。

www.buyma.com

入社後の学び

①バランス感覚が求められる

エニグモで最も鍛えられたのは、複数の視点を同時に持ち、全体最適を追求するバランス感覚です。

入社後に手がけた印象的なプロジェクトに、経理が企画を行った出品者に関連する機能開発がありました。 このプロジェクトは、経理、カスタマーサポート、出品者側のマーケティング、エンジニア、デザイナーという多様な職種が集まったチームで進行しました。

プロジェクトの仕様決めの場面で、私は初めて「歴史の重さ」を実感しました。 経理上の運用フローもあり、社内ニーズとユーザーニーズを調和させた運用となっていました。

その上で、機能開発という観点から出品者にとっての使いやすさ(ユーザービリティ)も確保しなければなりません。 さらに、問い合わせが発生した際のカスタマーサポートの対応負荷も事前に検討しておく必要がありました。

このように、1つの意思決定が複数の部署に影響を及ぼします。 そして、20年の歴史があるプロダクトでは、1つのルールを変更するだけでも、システム的にもビジネス的にも背景が膨大にあるため、定点を見て結論を出すことができません。

エニグモでは「出品者・購入者・プラットフォーマーとしてのルール作り・ルールを維持するための運用的可能性」という多面的な視点を同時に持つ必要があります。 この多面的なバランス感覚こそ、今後どのようなプロダクトに関わっても活かせる、PdMとしての生存戦略の核だと感じています。

②組織のノウハウに対するレバレッジ

エニグモには、社歴が長い人が多く在籍しています。 先輩方はBUYMAの歴史を肌で知り、過去の成功と失敗を体験してきています。 ※平均勤続年数は6.3年(2025年10月時点)

入社当初、私は自分がまだ知らない領域について不安を感じていました。 しかし、実際に働いてみて気づいたのは、「自分がすべてを知っている必要はない」ということでした。 重要なのは、知識を持っている人が何を気にしていて、どのようなデータがあり、組織としてどこでバランスを取るべきかを考え、意思決定に繋げることです。

多くのプロジェクトでは、過去の事例やデータが膨大にあるため、各部署の担当者の背景理解や考慮すべき点の想定を事前から広く取ることが可能です。

例えば、カスタマーサポートのメンバーに相談すると、「過去に類似の仕様変更を実施した際、こういった問い合わせが急増した」という実例を教えてくれます。 経理企画のメンバーに相談すると、「この処理フローは○年前にこういう理由で導入された」という背景を共有してくれます。

また、過去の意思決定に関するドキュメントが残っているため、ノウハウの探索がしやすいのも大きな利点です。 考慮しなければならない箇所や、とある対応策を取ろうとした時のメリット・デメリットの整理がしやすくなります。

これらの知見は、組織に蓄積された「ノウハウ」です。 エニグモでは「誰に聞けば良いか」「どのデータを見れば良いか」「過去のどのドキュメントを参照すれば良いか」を知っていれば、圧倒的に速く、精度の高い意思決定ができます。

そして、PdMの役割は、そのノウハウをレバレッジとして活用し、最適な意思決定を導くことです。 この組織知へのアクセス能力は、AIが進化しても決して代替されない、人間ならではの強みだと考えています。

③意思決定の質とスピード

エニグモでは、開発案件に応じてスクラムアジャイルを使い分けながら開発を進めています。 サービスインフラ(SI)領域を例にとる、ビジネスサイドは10〜15名程度、エンジニアが5〜8名程度、PdMが2名程度で進行しており、密に連携しながら施策を推進します。

驚いたのは、意思決定のスピードと質の両立です。 前職では、スピード重視で施策を回していましたが、データが不足しているために「やってみなければわからない」という状況が多くありました。 一方、エニグモでは20年分のデータとノウハウがあるため、「過去の類似施策ではこうだった」「このセグメントのユーザーはこう動く」という根拠に基づいた意思決定ができます。 また、AI活用も積極的に進められています。例えば、BUYMAには「AIでさがす」機能があり、Vertex AI SearchやGeminiを活用し、よりBUYMAらしい商品提案が可能になりました。

『「AIでさがす」サービスのリニューアル』について

このように、歴史という「深い土壌」とAIという「速い道具」が揃っていることで、意思決定の質とスピードが同時に高まっています。 AIによって解決できる課題の量と幅は拡張されていますが、「何を解くべきか」を判断するのは人間の役割です。 そして、その判断の精度を高めるのが、プロダクトの厚みから得られる「物事の見方」と「意思決定プロセスの判断軸」です。

歴史の重さと向き合う難しさ

ここまでポジティブな面を中心に書いてきましたが、正直に言えば、苦労したポイントもあります。

各部署との調整と、歴史の重さを考慮した意思決定は、想像以上に難しいものでした。 1つのルールを変更するにしても、その変更がシステム的にもビジネス的にも背景が膨大にあるため、定点を見て結論を出すことができません。

複数の部署の意見を聞き、過去のドキュメントを読み込み、データを分析し、そして全体最適を追求する。 このプロセスは、スピード重視の新規事業とは異なる難しさがあります。

しかし、この「難しさ」こそが、PdMとしての成長を促してくれていると感じています。 なぜなら、今後どのようなプロダクトに関わっても活きる「面と深さを考えながらプロダクトを進行する」という実践知を経験できているからです。

今後やっていきたいこと

この1年間で、私はプロダクトを「点」ではなく「面」で捉える視座を手に入れました。

SELL領域とSI領域を横断して担当することで、出品者の体験、購入者の体験、そしてそれらを支える基盤(経理・配送・決済)、すべてが繋がっていることを実感しています。

しかし、まだ「面」のすべてを理解しているわけではありません。 今後は、一部門だけでなく、ユーザー体験全体を「面」で捉え、形にしていくことに挑戦したいと考えています。

エニグモには、歴史という「深い土壌」と、AIという「速い道具」が揃っています。 この環境だからこそ、幅広く、深く、そして「形」にして、面としてのプロダクト磨きに取り組めると確信しています。

BUYMAは20周年を迎え、さらなる進化を続けています。私自身も、この蓄積の中で、PdMとしての生存戦略を磨き続けていきたいと思います。

エニグモで働く魅力

最後に、エニグモで働く魅力をまとめます。

プロダクト・人材面でしっかりとした土壌がある

20年分のデータとノウハウ、そして社歴の長いメンバーが持つ知見。これらは、新規事業では決して得られない「厚み」です。 過去の意思決定に関するドキュメントが残っているため、ノウハウの探索がしやすく、考慮すべき点の整理が圧倒的に速くなります。

幅広く・高速にチャレンジができる

AI活用やアジャイル開発により、意思決定のスピードと質が両立されています。 若手でも裁量を持ってプロジェクトを推進できる環境です。 「AIでさがす」機能や類似画像検索の内製化など、最先端の技術を活用した施策に取り組めます。

バランス感覚が磨かれる

経理・出品者・カスタマーサポート・プロダクト全体という多面的な視点を持つことで、どのプロダクトにも通用する「究極のバランス感覚」が身につきます。

 「専門性か、汎用性か」で迷うあなたへ。

エニグモには、専門性を深めながら、汎用性も高められる環境があります。 AIに奪われない組織知をレバレッジとして活用し、プロダクト開発を通じて自己成長できる場所です。 もし、あなたがキャリア形成に不安を感じているなら、エニグモという「最強の土壌」で、一緒にプロダクトを磨いていきませんか。

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