こんにちは、Corporate IT/Business ITを担当している足立です。
この記事は Enigmo Advent Calendar 2021 の 21日目の記事です。 代打として2回目の登場です。
2021年の前期はオフィスリニューアルPJの業務に追われていました。
コロナ禍に突入し出社とリモートワーク両方に最適化された環境を構築する事をミッションとして動きましたので、
今回はコーポレートIT目線で実施した事を書きたいと思います。
旧オフィスの課題 電源問題
リニューアルするなら旧オフィスで課題だった部分を改善したいと思いました。
総務的な話になりますが、特に電源については下記問題がありました。
- 電源
- 旧オフィス時にはOAタップが少なくタコ足配線かつ数珠繋ぎ状態で、あちらこちらにあり危険な状態
- 電子レンジを2台同時に利用した際にブレーカーが落ちiMacが強制シャットダウン状態になった事がありアンペア増強・単独系統への見直しが必要
→ リニューアル後
座席毎に6個口OAタップが設置されました。
全てではありませんが、座席にモニターを常設しUSB-Cによる電源供給も可能にしました。
最大65 Wの電力を供給出来るので、PCの電源供給と映像信号が1つのケーブルで対応可能になりました。
オフィス レイアウト作成時に社内に設置する電子レンジは執務エリアと電源系統と別にして頂きました。 絶対にサーバールームの電源系統は他に影響しないように手配しました。
電話周り
電話システムはオンプレ型のPBX(レガシーPBX)で構成されていたため、頭を悩ませていました。 これも総務的な話ですが、気づいたら電話周りも担当していたので、どうにかしようと思いました。
課題
- オフィスに設置する物理的な機器であるため、移設時には工事などが必要(PBX・配線)
- 運用保守は専門の業者に依頼をしている
- 今後、移転の場合は通信キャリア、専門業者との調整が必要になり時間がかかる
- 当然、電話は社内でしか使用出来ない
- PBXがサーバールームに設置してあり場所を取る(兎に角、邪魔でしょうがない)
→ リニューアル後
クラウドPBXであるDialpadを導入しました。
導入した事によりPCやスマホで会社の電話を利用出来るようになりました。
着信については会社が保有している電話番号(03番)にて着信するように、キャリア自動転送を利用してDialpadで発行された050の番号へ転送するようにしました。
ただし、発信はDialpadで発行した050の番号で発信する事になります。
最近、Dialpadでも0ABJ番号(03番)を別途、機器を設置せずにライセンス購入のみで利用出来るようになりましたので03番で発着信したい場合は、そちらを利用すると良いと思います。
導入後はWEB上で電話関連の設定が出来るようになりました。
- 転送機能
- 留守番電話
- IVR設定(音声ガイダンス)
他にも色々と機能がありますが、特にIVRが利用出来るようになったので内容に応じてBUYMAカスタマーサポートやfondeskへ誘導出来るようになりました。
キャリア自動転送をする際にエニグモの固定電話回線はISDNだった為、キャリアに依頼してオペレーターの方に対応してもらうか電話機の操作で転送設定をする必要がありました。 ただ、従来の電話機は処分する必要もあり電話機の操作による設定は利用出来なくなり、かと言ってオペレーターの方に依頼する場合、変更まで日数がかかるので思い切って電話回線を光収容化しキャリアのWEBページ上で転送設定が出来るようにしました。 (この構成はモダンな情シス Kajinariさんの事例を参考とさせて頂きました。)
IP固定電話
電話機は完全に無くすつもりで考えていましたが、バックオフィス部門から電話機が必要と言われたので
5台 POLYCOM VVX 350を設置しました。
こいつが厄介だったのは、日本国内では購入は可能だが、サポートが受けられないのが難点でした。
お取引があるベンダーさん何社かに問い合わせしましたが、どこも販売までしか対応出来ないと言われ
覚悟を決めた上での購入でした。
不明な部分については基本、英語のマニュアルを翻訳して調べたり勘に頼ったりして設定しました。
それでも分からない部分についてはDialpadサポートの方が教えてくれました。
FAX
コロナ禍直後は複合機から受信したFAXをメール送信→Zapier→Slackで通知、Googleドライブに格納と言う構成でしたが、課題もありました。
- 複合機の仕様上、用紙が切れるとFAXのメール送信が出来ない
- 送信が社内のみでしか利用出来ない
- PBXを撤去したいから電話線引きたくない
課題を無くす為、KDDIのペーパーレスFAXを導入しクラウド化を行いました。 当初は「FAX.PLUS」の導入も検討していましたが、FAXを利用する業務の大半が経理チームで主に銀行とのやり取りだったので、何かトラブルがあった際に日本企業の方が意思疎通が早いのかなと思いKDDIにしました。 WEB上でFAXの送受信が出来れば支障は無いので、特にこだわりはありませんでした。 導入後、FAX受信はメール添付機能を利用し、旧構成と同じくZapierを利用してSlack上に受信通知、Googleドライブへ保存するようにし FAX送信時はペーパーレスFAXのサイトにログインして使用するので自宅からでもFAX送信出来るようになりました。
受付システム・座席予約(ホテリング)
電話の話にも通ずるのですが、受付をどうするかも課題でした。 従来の受付ではエントランスに電話機を設置し総務担当が取次するスタイルで お客様がお見えになる際は「ご来社カード」と呼ばれる入退室管理の用紙に必要事項を記入して頂くフローでした。
ただ、このままだと下記課題が残ります。
- 受付の内線電話を撤去しなければオンプレPBXを撤去出来ない
- 外来者の入退室管理が紙による記入かつ集計作業が業務負担になっている
そこで「ACALL RECEPTION」を導入しました。
導入後、来客通知はSlackに変わり、お客様がお見えになった際は別途、設置したラベルプリンターから入館証が発行されるようになり
内線電話による受電対応が無くなり、入館履歴がシステム化され集計作業も不要になりました。
ただ、一部部署にて宅配業者がお見えになった際にSlackの通知だと作業中に気づかないと言う相談があった為 宅配業者専用ボタンを作成しACALLとDialpadを連携、そこだけはIP固定電話にて着信する運用となりました。
座席予約システム(ホテリング)
新しいオフィスは面積が今までの半分になる為、フリーアドレスを採用する事になりました。
リモートワークが主流になり、座席数がそこまで必要無くなりますが、その際に上司から座席予約システム導入を検討するよう指示がありました。
個人的には必要なのか?と思いましたが、席のダブルブッキングや出社している人をひと目で可視化する為にも必要でした。 また、WEB MTG用に個室ブースを8箇所設置する為、座席予約システム導入がマストになりました。
導入検討をしていた当時、ベストなソリューション選定に大変悩みました。 現在はコロナ禍を想定した座席予約システムが増えて来ましたが、当時としては・・・
- 社内のコミュニケーション 円滑化を目的としたシステム(抽選式で座席を決めるシステム)
- IoTに特化した座席予約システム(各座席にセンサーを設置する為、費用も高額、電池交換も必要)
弊社としてはWEB上かスマホで予約してはい、終わり!ぐらいなシンプルな機能を求めました。 ただ、上記の様に希望する要件と違ったシステムばかりでした。
悩んでいる矢先に受付システムで導入しようとしていたACALLに座席予約(ホテリング)機能がローンチされるとの情報が耳に入りました。 内容を見てみると希望する要件を満たすのではと感じ、受付システムと一緒に導入してみました。 導入当初は予約した席にチェックインする作業に慣れない人も居ましたが、現在ではすっかり慣れました。 チェックインとは事前に予約した席に来たらACALLのスマホアプリで座席に貼ってあるQRコードを読み込む作業です。 予約した時刻から15分以内にチェックインしないと予約がキャンセルされます。 この機能が無いと予約したにも関わらず席を利用しない人が現れた際に他の人が利用する事が出来ないので重要な機能です。
特にWEB MTG用の個室ブースは1時間単位で利用する事が多く、システムの利用頻度は高めです。通常予約システムを導入した会社によっては利用しなくなるケースがあると聞いたことがありますが、弊社は業務に欠かせないシステムとなりました。
入退出システム
同時進行でシステム導入や移設手配をしている矢先に今度は入退出システム導入の話が出てきました。 オフィスの一部分だけは入居しているビルが管轄している入退出システムを利用しているのですが、C工事に該当するエリアについては自社で入退出システムを入れる必要がありました。従来ではセキュリティ会社が販売しているオンプレのシステムを利用していましたが、このタイミングでリプレイスする事となりました。 (管理コンソールがIEでしかログイン出来ない・・・)
代表からは「顔認証」で入退出出来るようにして欲しいとオーダーがありました。 当初はクラウドタイプの入退出システムをベースに顔認証を付ける構成を考えていましたが、お見積を取ると費用がかなり高額になる事が分かりました。 顔認証を諦めてもらい、スマホアプリやFeliCaを利用したシステムを役員へ提案しました。
プレゼン時に代表からは「顔認証」を捨てきれない印象があり、再検討するよう指示があり 「色々、見た上で提案しているんだから、他にあるんだろうか・・・」と思っていたので思わず「じゃあ、おすすめのシステムあれば見てみます」と 逆質問に近いように返答したところ、代表の口から「Safieとか」と言われ早速、見てみると「Safie Entrance」なるものが。
クラウド録画カメラのシステムとしては知っていたのですが、顔認証での入退出システムがあるのは知りませんでした。 早速、連絡を取り仕様や費用面を確認すると従来の顔認証システムに比べて圧倒的に安価に導入でき月々の費用もかなり安くなる事が分かり導入が決定。 若干、「こんなに良いものあるなら早く言ってよ」と思いましたが、代表のひと言が無ければ導入出来なかったと思います。 エニグモでは5箇所に設置しました。事前にSafieEntranceで使用するiPadを準備しケーブルを最小限にする為に電源はPoEにて供給する事にしました。 通信についてはテストした結果、Wi-Fiでも動作は問題ありませんでしたが有線LANで行っています。以前は鍵を使って物理的に入退出していた場所は全て顔認証になりエリア毎に入退出出来る従業員を制限しています。導入してみると顔さえあれば入出出来るのでが大変便利です。以前だと鍵にかけ忘れなどあり、それが無くなったので物理的なセキュリティレベル向上にも繋がりました。
個室ブース
以前に比べWEB MTGの需要が増えました。エニグモでも基本、MTGはZoomで行う事が増え、その度に会議室が不足する事になりました。 その為、上司の案で個室ブースを設置しました。 設計当初、防音になると聞いていたので各ブースにはLANケーブルを敷設しました。昔、ITサポートの仕事をしていた時にあるお客様のご家庭に防音部屋があり、その部屋だけWi-Fiが受信出来なかった経験がありました。使用する材質によっては著しくWi-Fiの強度が低下する恐れがあったのでお守り代わりに引くことをリクエストしました。 設置後に通信が不安定になるとWEB MTGに取っては致命傷になる事を危惧していました。実際に設置後にZoomを利用した際にインターネットの速度が不安定ですと表示された事があり、やっぱり引いといて正解だと心から感じました。 現在はオフィスに必要不可欠な場所となり、出社が多い日は予約出来なくなる事もあります。
もし個室ブースを設置を検討している場合はブース内の空調と照明にはこだわった方が良いと思います。 密封されている空間なので空調を重要ですし、窓が無い場合は照明を明るく出来るようする事をオススメします。
最後に
社内ネットワークについて書こうと思いましたが基本、現状維持のままでの移設だったので特段書く事も無く割愛しました。 ただ、Wi-Fi6に対応させようかと思ったのですが、サポート切れか今後会社が移転する機会があればその時で良いかと思ったので何もしませんでした。 あとは社内のAV機器周りについても担当したのですが、それはまた別の機会にでも書きたいと思います。 (これで1本書ける内容なので。)
新しいオフィスになり半年以上経過し、日々働いていると本当に良いオフィスになったと実感します。 このタイミングで様々なものを導入させて頂いて、短期間で担当した事は自分に取って財産になりました。 そして、導入に関してGoサインを出してくれた上司、役員の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
明日の記事の担当は サーバーサイドエンジニアのstevenさんです。お楽しみに。
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