世界のリーダーシップが考えるAIへのアプローチとは?ジャマイカで開催されたカンファレンスレポート

BUYMA Globalの事業統括責任者をしているHibaruです。 私はエンジニアではないのですが、プロダクトマネージメント業務にも携わっており、今回は私がBUYMA Globalのプラットフォームに導入したAI企業「Mad Street Den(以下MSD)」が開催したカンファレンスに招待いただき、たくさんのインスピレーションを得ることができたので、ブログを書かせていただきます。

Montego Bay, Jamaica

カンファレンスが行われたのは、なんとカリブ海にあるジャマイカ

私は普段ロサンゼルス在住なのですが、ジャマイカは初上陸でした。 今回は開催企業の取引先で米国企業を中心に世界中からリーダーシップが招待され、ケーススタディや新しい技術へのアプローチ方法などをディスカッションする2日間のイベントでした。

DAY 1: Dinner / Meet & Greet

美しいカリブ海に浮かぶジャマイカのMontego Bayにあるリゾートに全員宿泊し、そこからバスで歴史的なハウスミュージアムであるローズホール・ゲストハウスへ。

Rose Hall Guest House

REBUILDと題されたイベントは今回で3回目の開催だそうで、初回はインド(MSDはインドが本拠地です)、2回目がドバイだったそうです。 REBUILDは単なるイベントではなく、「コミュニティ」だと開催にこめた思いなどがMSDのCEOとCTOから語られました。

“テクノロジーのトレンドは、ユーザーのインフルエンス力が大きなパワーとスピードをもたらす”

DinnerのKeynoteスピーチは、元P&GでGlobalのITチーフをしていたAndy Walter氏が務め、レガシー的な大きな組織に「インターネット」を導入した際のお話や、彼のキャリアでは常に「もっと社内の人にインフルエンスしなさい」と言われ続けてきたストーリーを話してくれました。

それから、Chat GPTの話にもなりましたが参加者たちの意見ではGoogleがいずれovertakeするだろうとの見解。 この大きなトレンドには、業界のインフルエンサーたちが大きく貢献しているという例でした。

Dinner

Dinnerでは海外のビジネスシーンでは欠かせないネットワーキングで、お互いのビジネスやチャレンジ、コラボレーションの可能性などを話します。(これがいまだに苦手ですが頑張りました)

アフリカ向けにブティック連携したマーケットプレイスを展開している会社や、中南米Amazonと呼ばれるマーケットプレイスなどEcommerceに関わる企業や、メディカル、ファイナンスなど様々な業界から、CEOやCTO、プロダクトマネジャーが参加していました。

Day 2: Case Studies & Panel Discussion

2日目はカンファレンス本番で、会場をHalf Moon Resortに移し、朝から夕方までケーススタディやパネルディスカッションが行われました。(ちなみにこのHalf Moon Resortは、エリザベス女王を始め多くのロイヤルファミリーが宿泊したそう!)

データセントリック vs モデルセントリック?

世界のCIO, CDTO, CDO, CEOが回答した答えはクリアだった

Data centric AI approach

  • AIにフォーカスする市場での答えは「データセントリック
  • CDOとCIOは、20-21年にAIに$50Bを費やしたが、ビジネスの成果という点では、何の成果も得られていない(*MITSloan)
  • 機械学習やAIの技術者・担当者は、「モデル構築」することにフォーカスしがち。しかし正解は「データのクリーンアップ、コネクト&アクティベーション」である(モデル構築が答えではない)
全ての基盤となる「データ」

Data is everything

MSDが考えるAIアプローチ・AI Transformationの始まりは、全てデータから始まる。 データがクリーンでない、統合されていない、正しいデータソースを見極められない、これらができていないと、結果としてコストが高くなり(データサイエンティストやマニュアル作業の時間的コストも含める)ROIが見合わなくなり、エンドレスにモデル構築をしなければならない。

“これまでの「AI Transformation」から「ROI-Driven AI Transformation」へ”

ケーススタディから学ぶAIアプローチ

  • AYA Healthcare: San Diego発のトラベルナース派遣サービス。Pandemicで急激に増えたトラベルナースのアサインメントのマッチングをするため、リアルタイムで対応できるAIレコメンデーションを使用。 ナースのプロフィールやスキル・資格とアサインメントが合っているか、お給料の希望レンジや希望ロケーションなど、そして特別なアサインメントには条件がクリアできるナースが登録している中から2名とかしかいない場合もあるので、そういった急務な案件をそのナースの検索結果のトップに出せるようにした。 今後はDocumentationスキャンのAutomationを導入しようと思っている。ナース登録やアサインメントに入る際のAgreement、書類のアップロードなどがスムーズにできるようにする

  • Fedex: Fedex x ShopRunnerのFulfillment OptimizationにAI活用。 特に荷物がどこのロケーションにあり、どこへ送るのか、またカスタマーが希望している優先順位は何か(配送の速さ、Sustainability、価格)によって配送オプションの出しわけをできるようにした。今後Cross-border向けのDocumentationスキャンもAI導入予定

  • PICARD: ドイツ発の老舗バッグブランド。PandemicをきっかけにOnline Storeに力を入れることになったが、モデル着用画像がなくEcommerceパフォーマンスは低迷。MSDの提供するVue.aiモデル着用AIを利用し、CVR +65%、AOV +12%、返品率 22%ダウンを実現させた。

Retail業界をAIがどう変えていく!?

実はこのテーマのパネルディスカッションに私も登壇させていただきました。 英語で世界のリーダーたちとゲストの前で登壇をするのはとても緊張しましたが、前もってかなり練習をしていったので、スムーズに発言できたのではないかと思います。 終わった後にたくさん皆さんに声をかけていただき、またBUYMAのサービスにもとても興味をもっていただけました!

  • 消費者の検索動向トレンドに合わせてAIを活用していくケースやユースケースが出てきている
  • AIを導入することでパーソナライゼーションやレコメンデーションが大幅進化している!例えば同じアカウントを使って違う家族のメンバーがお買い物をしようとしていたら?アクセスする時間帯と傾向をマシンラーニングし、そこでパーソナライゼーションやレコメンデーションを出し分ける例まであるそう。
  • 過剰在庫の世界的問題にAIがどう貢献できるのか?この過剰在庫という問題は環境やエコノミーにも非常に大きく影響している世界的問題。AIを使って、過剰在庫になる前にそれらの商品を予測し、プロモーションをしたり、追加発注をしないようにできる技術も開発されている。

Innovation x Leadership(AIや新しい技術へのアプローチ、組織改革へのアプローチ)

  • Victoria's Secret:

どのようにDigital innovationをLegacy化した大きな組織に素早く導入するか。 Story-tellingできるプロトタイプを作ることが重要。 50つのアイディアがあっても、そこから検討テーブルに上がるのが7-8つだったそう。 PassionがInnovationを作っていくこと、社内で新しいInnovationやアイディアをインフルエンスしていくことが重要だとここでも語れました。 そしてGen-z世代はTechnologyと共に生きているので必要不可欠であることを理解する。

中南米Amazonと呼ばれる大規模なマーケットプレイス。 ビジネス拡大が加速し、1000人未満だったエンジニアが数年で15000人のエンジニア組織に急速拡大。 大きな技術・組織改革において、「Culture / Language / Technology」を素早く共有し、適応してもらうにはかなりのチャレンジがあった。 10000人以上にNew Hireのうち、なんと70%がRefarralで構成されていることで、「Culture / Language / Technology」の適応の大部分をカバー、30%は全くの未経験も含んでいたが、この3割にはトレーニングに注力した。

たくさんの学びがありましたが、Key Takeawayをまとめてみます。

★基盤となるデータの重要性

★TechnologyはCultureであること(技術そのものが人の役割をTake overするのではなく、技術を理解しどのように扱う・活用するか考える人が重要である)

★TechnologyはCommunityであること(今回のイベントのように、様々な業界から人が集まりケーススタディやUse caseをシェアし、課題を共有し、アイディアを出せること)

2日目はカンファレンス後、プライベートアイランドでサンセットを見ながらのパーティー。 こんな規模でイベントを開催するMSDにとても驚き感心しました!

そして何よりMSDのCEOはインド人の女性で、テクノロジー業界で成功する女性としてインスピレーションをもらい勇気づけられました!

Bonding with girls in tech!

エンジニアではない私の体験&感想を書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

次回はぜひ社内のデータサイエンティストやエンジニアの方にも参加してもらえたら、また違った視点でインスピレーションがあるのではないかとおもいました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

Hibaru